生成AIを使う前の社内データ整備——中小企業の5ステップガイド
生成AIを試してみたものの、いまひとつ使いこなせていない——そんな経営者は多いのではないでしょうか。その多くの場合、ツールの問題ではなく「社内データが整っていない」ことが原因です。
生成AIは、与えられた情報をもとに回答や提案を行うツールです。どこに何のデータがあるかわからない状態では、AIが力を発揮する場面がそもそも生まれません。この記事では、情シス不在の中小企業でも実践できる、社内データ整備の5ステップを解説します。
生成AIが「使えない」まま終わる理由
生成AIが業務で活きるのは、自社の情報と組み合わせたときです。「過去の提案書を参考にして新しい資料を作る」「蓄積した顧客情報をもとに最適な回答を提示する」——こうした使い方ができて初めて、業務の効率化につながります。
しかし多くの中小企業では、社内データが次のような状態にあります。
- 各社員のパソコンにバラバラに保存されている
- チャット・ストレージ・会計など、サービスごとにデータが分散している
- 紙の書類と電子データが混在している
総務省の令和7年版情報通信白書では、中小企業がAI活用を進めるうえでの障壁として「実用的な活用方法が不明確」が挙げられています。その根本には、「AIに何を読ませればいいか」という問いへの答えが出ていない——つまりデータが整理されていないという課題があります。
社内データ整備 5ステップ
ステップ1:データがどこにあるか把握する
まず「棚卸し」から始めます。業務でよく使うファイルや情報が、どのサービス・どの端末に存在するかをリストアップします。
完璧を目指す必要はありません。「売上データはどこ?」「顧客情報は?」「過去の議事録はどこに保存されている?」という問いにすぐ答えられる状態を目指すことがゴールです。
参考:AIを業務に使いたいなら、まず社内ツールを整理する——SaaS乱立が中小企業のAI活用を妨げる理由
ステップ2:データを置く「場所」を1か所決める
棚卸しが終わったら、社内の共通データ置き場を決めます。社員ごと・部署ごとにバラバラにするのではなく、「会社全体で使える1か所」を設定することがポイントです。
クラウドサービスを使う場合は、個人アカウントではなく法人契約のものを選びましょう。個人アカウントでの運用は、担当者が退職した際にデータへのアクセスを失うリスクがあります。
ステップ3:フォルダ構造と命名ルールを決める
「どこかに保存されている」だけでは不十分です。フォルダの階層構成と、ファイル名の付け方のルールを決めます。
たとえば「案件名_日付_バージョン(例:A社提案_20260630_v2)」のような命名規則を全社で統一するだけで、後からの検索時間が大幅に短縮されます。AIに読ませる際も、ファイル名や構造が整っているほど処理精度が上がります。
ステップ4:バックアップの仕組みを確認する
整備したデータが消えては本末転倒です。定期的な自動バックアップが機能しているかを確認しましょう。
バックアップ先が「整備前の散らかったSaaSと同じサービス」では意味がありません。バックアップ先もセットで見直すことをおすすめします。
ステップ5:1つの業務でAIを試してみる
データが一定程度整ったら、まず1つの業務でAIを使ってみます。
- 過去の議事録を読み込んで、要点のサマリーを作る
- 蓄積した顧客情報をもとに、問い合わせメールの文面を作成する
- 社内FAQをAIに読ませて、新入社員の質問に自動回答させる
全業務への適用を最初から目指す必要はありません。小さな成功体験を積むことで、次のステップへの道筋が見えてきます。
データの置き場所をどう選ぶか
「共通のデータ置き場」を選ぶ際に必ず出てくる問いが、クラウドサービスか社内サーバーかという選択です。
クラウドサービスは初期費用が低く手軽に始められる反面、利用人数が増えるほど月額費用が積み上がります。また、提供元のサービス変更や終了によって、急にデータへのアクセス方法が変わるリスクも伴います。
一方で社内サーバーにデータを集約すると、サービス動向に左右されずに自社でデータを管理できます。社員数が増えても費用は変わらないため、成長期の会社にも向いています。
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