会社設立直後にITツール選びで後悔しないための4つの判断基準
「会社を設立したのはいいけれど、どのITツールを選べばいいのかさっぱりわからない」——創業期の経営者や総務担当者から、こんな相談をいただくことがよくあります。
実際、チャット・ファイル共有・会計・メール——これらをすべて個別に契約し始めると、月々のランニングコストは軽く見積もっても一人あたり5,000円〜10,000円に達します。しかも、それぞれに管理画面があり、ID発行や権限設定のたびに「あれ、どこでやるんだっけ?」となる。
本記事では、創業期に最低限必要なITツールを整理し、「何を基準に選べばいいのか」という判断軸を提供します。最後には、コストと管理負荷を一気に削減する方法にも触れますので、ぜひ最後までお付き合いください。
なぜ創業期にITツールの選定が重要か
創業直後は全員がなんでもやる「オールラウンダー状態」です。営業も経理も総務も——ひとりの人間がいくつもの役割を抱える中で、ITツールがバラバラだと、そのつなぎ目で必ずロスが発生します。
たとえば、以下のような場面に心当たりはないでしょうか。
- 「あの見積書、誰のDropboxに入ってたっけ?」
- 「チャットで共有したファイル、もう期限切れで見られない」
- 「経費の申請がメールとExcelの往復になっていて、誰が承認したかわからない」
人が3名を超えたあたりから、この「ツールのはざま」が確実に業務のボトルネックになります。最初にしっかりとした選定基準を持っておくことが、あとで効いてくるのです。
絶対に外せない4つの機能領域
業種によらず、ほとんどの会社で必要になるのは以下の4領域です。それぞれの領域について、「何を基準に選ぶべきか」という判断軸を示します。
① 社内コミュニケーション(ビジネスチャット)
社内の迅速なやりとりにはビジネスチャットが欠かせません。メールは「保存しておかなければならない公文書」向けで、日常の報連相には向いていません。
判断軸: 過去ログの検索性と、無料プランの制限です。Slackは無料版だと90日以上前のメッセージが参照できなくなります。チームが育つにつれて、過去のナレッジは資産になりますから、「検索できる範囲」は重要です。
② ファイル共有(社内ストレージ)
見積書・請求書・提案資料——これらを個人のローカルPCだけに置くのは、ビジネス継続性の観点から危険です。担当者が休んだだけで業務が止まる構造は、小さな組織ほど避けたいところです。
判断軸: 容量単価とアクセス権限の柔軟さです。クラウドストレージは月額課金がかさみますが、自社内にNASやファイルサーバーを置けば容量を気にする必要はほぼなくなります。
③ 会計・経理
法人であれば決算申告は避けて通れません。日々の取引を帳簿に残す仕組みを、最初からルール化しておくことが重要です。
判断軸: 「簿記の知識がなくても使えるか」と「税理士とのデータ共有のしやすさ」です。freeeやマネーフォワードのようなクラウド会計ソフトは便利ですが、月額費用が継続的にかかる点は考慮が必要です。
④ メールとグループウェア
独自ドメインのメールアドレス(xxx@自社名.jp)と、社内で共有するカレンダー機能は、法人としての信頼を担保するために基本中の基本です。
判断軸: カスタマイズ性よりも「運用のしやすさ」を優先します。管理画面がシンプルであること、そしてヘルプデスクが日本語対応しているかどうかもチェックポイントです。
「全部バラバラに契約する」という落とし穴
上記4つをすべて個別のSaaSで揃えた場合、月額費用の合計はざっくり以下のようになります。
- チャット:1人あたり 月額800〜1,500円
- ストレージ:1人あたり 月額1,500〜2,500円
- 会計ソフト:月額3,000〜5,000円
- メール+グループウェア:1人あたり 月額700〜1,500円
社員が5人の場合、これだけで月額3〜5万円程度の固定費です。年間にすると36〜60万円。創業期のキャッシュフローを圧迫するには十分な金額です。
さらに見逃せないのが「管理コスト」です。4つのサービスにそれぞれログインし、入退社のたびにIDを発行・削除する——この手間は、担当者の精神的な疲弊にもつながります。いわゆる「SaaS疲れ」「クラウド疲れ」の正体は、機能不足ではなく、この管理の分散にあります。
ひとつの選択肢:オールインワンサーバーというアプローチ
ここで提案したいのは、これらの機能を1台に集約した「オフィスサーバー」という考え方です。
私どもの提供する Orcinus(オルキヌス) は、ビジネスチャット(Mattermost)、ファイル共有(Samba)、会計ソフト(Hieronymus)を標準搭載したオールインワンサーバーです。
最大の特徴は、ユーザー数無制限・月額定額であること。社員が増えても費用は変わらず、管理画面もひとつです。SaaSのように「ID数を追加するたびに課金が増える」心配はありません。
創業期に必要なのは、「足りない機能をあとから追加できる柔軟さ」と「増えすぎない固定費」のバランスです。その両立を、シンプルな形で実現したのがOrcinusというプロダクトです。
まとめ
会社設立時のITツール選びに「絶対の正解」はありません。大事なのは、目の前の安さだけで決めず、「管理の手間」と「長期的なコスト構造」まで含めて判断することです。
クラウドサービスの便利さは否定しません。ただ、その「ひとつひとつは軽い」課金が、積み重なったときに思いのほか重くなる——という構造を、意識しておいて損はないはずです。