属人化を防ぐIT整備——担当者が辞めても困らない情報管理の仕組みづくり
「あの担当者が辞めてから、あのファイルがどこにあるかわからない」「引き継ぎをしたはずなのに、肝心な情報が出てこない」——業務の属人化は、中小企業の経営者や管理職が頭を悩ませる定番の課題です。
属人化とは、特定の担当者にしか業務の進め方や情報がわからない状態のことです。人手不足が続く中小企業では特に起きやすく、一人ひとりが多くの業務を抱えることで「あの人しか知らない」情報が増えていきます。この記事では、属人化の原因のひとつにIT環境の分散があることを整理し、情シスなしでも取り組める改善の方向性を紹介します。
中小企業で属人化が起きやすい理由
属人化の背景にはいくつかの構造的な要因があります。
- 一人が複数の役割を兼任している:少人数の組織では「この業務はあの人に任せている」という状況が当たり前になりがちです。専任担当者がいることで、その人以外は詳細を把握しないままになります
- 引き継ぎの仕組みがない:退職や異動のたびに「属人化していたことに気づく」ケースが多く、日常的に引き継ぎ文書を更新する仕組みが根付いていません
- 情シス担当者がいない:ITの管理を特定の社員が「詳しいから」という理由で担っている場合、その人が辞めた瞬間にシステムの管理ができなくなるリスクがあります
ITツールが分散していると属人化が加速する
属人化を解消しようとする際に見落とされがちなのが、ITツールの分散という問題です。
チャットはLINE、ファイルは各自のGoogleドライブ、会計は担当者のPCにインストールされたソフト、顧客情報は営業担当のExcel——このように情報の置き場所がバラバラになっている状態では、担当者が変わるたびに「どこに何があるかわからない」という事態が繰り返されます。
特に問題になりやすいのが、個人のクラウドアカウントに保存されたファイルです。担当者が退職した後、そのアカウントにアクセスできなくなれば、過去のやり取りや作業ファイルを取り出すことができません。
退職した社員の個人スマホに、会社の情報が残っていませんか?——業務データの「置き場所」が情報漏洩リスクを左右する
属人化を防ぐデータ管理の3原則
属人化を構造的に防ぐためには、「誰が何をしているか」以前に、「情報がどこにあるか全員がわかる」状態を作ることが先決です。そのための原則を3つ挙げます。
- 情報の置き場所を会社管理の一か所に統一する:個人のPCやクラウドアカウントではなく、組織として管理できる場所にデータを集める。退職後も会社側がアクセスできる状態を維持できます
- コミュニケーション履歴を残す:口頭や個人のチャットで完結した業務は記録が残りません。社内で管理できるチャットツールを使い、会話のログを会社の資産として残します
- アクセス権を役割単位で設定する:誰がどのデータにアクセスできるかを管理することで、退職時に適切に権限を回収でき、引き継ぎの範囲も明確になります
ビジネスチャットを入れたのに社員が個人LINEをやめない——「定着しない」中小企業に多い3つの理由
情シスなしでも整えられる情報一元管理の環境
「一か所に統一する」「ログを残す」「アクセス権を管理する」——この3つを個別のクラウドサービスで実現しようとすると、ツールの数が増えてかえって管理が煩雑になります。
オールインワン小型サーバー「Orcinus」は、チャット(Mattermost)・ファイル共有・会計ソフト(Hieronymus)をひとつの機器にまとめています。データは社内サーバーで管理されるため、担当者が退職した後も会社がログにアクセスでき、ファイルの引き継ぎも「共有フォルダのアクセス権を変更する」だけで済みます。
チャットはMattermostを搭載しており、過去ログが無制限で検索できます。「あのとき誰がどんな判断をしたか」を後から遡れる状態を、情シスなしでも維持できます。