会社のSaaS、全部把握していますか——情シスなしでできる整理4ステップ
会社で契約しているSaaSを、今すぐ全部挙げられますか?チャット、ファイル共有、会計、ビデオ会議、スケジュール管理——気づかないうちにいくつものサービスを契約し、気づいたときには誰も全体を把握できていない、という状況に陥っている中小企業は多いのではないでしょうか。
この記事では、IT担当者がいない会社でも今日から実践できるSaaSの棚卸し手順を4ステップで解説します。専用ツールは不要です。スプレッドシートと少しの時間があれば十分です。
会社が使っているSaaS、いくつあるか即答できますか?
創業直後は2〜3つだったはずのSaaSが、いつの間にか10個以上になっていた——これは特別な話ではありません。必要に迫られてひとつずつ契約を増やしていくと、全体の把握が誰の仕事にもなっていない状況が生まれやすいのです。
問題は、把握できていないこと自体にあります。使われていないまま毎月コストが発生しているサービス、担当者が退職してから誰もログインしていないアカウント、解約し忘れたまま更新され続けているプラン——こうした「見えないコスト」は、棚卸しをするまで気づかれません。
セキュリティの観点からも、把握されていないアカウントは危険です。誰が何のサービスにアクセスできる状態になっているか管理できていない状態は、情報漏洩リスクにつながります。
SaaSが"じわじわ増える"3つのきっかけ
SaaSが気づかないうちに増えていくのには、共通したパターンがあります。
①「とりあえず無料プランで試す」が有料化される
無料で始めたサービスが機能制限に引っかかり、有料プランへ移行する。こうして「いつの間にか月額が発生していた」サービスが積み重なります。
②「あの部署だけ使い始めた」が全社に広がる
特定のメンバーが便利に使い始めたツールが口コミで広がり、正式な承認なく使われるようになるケースです。経営者が把握していない「シャドーIT」の典型例です。
③担当者が変わるたびに「新しいツールで整理しよう」が繰り返される
前任者が使っていたツールを引き継がず、新しいサービスを導入する。古いものも残ったまま、気づけば二重三重に契約している状態になります。
情シスなしでできるSaaS棚卸し4ステップ
難しく考える必要はありません。スプレッドシートを1枚用意して、順番に進めていくだけです。
ステップ1:クレジットカード・経費明細から一覧を作る
まず「お金が出ているところ」から洗い出します。会社のクレジットカード明細・経費精算データ・銀行引き落としの履歴を過去6〜12ヶ月分さかのぼって確認し、定期課金されているサービスを全てリストアップしましょう。
このとき、サービス名・月額(または年額)・契約者(誰のアカウントで契約したか)の3つだけ記録すれば十分です。最初から完璧な台帳を作ろうとすると手が止まるので、「お金の動き」から始めるのが最も確実です。
ステップ2:各ツールの「実際の利用者数」を確認する
リストアップしたサービスのそれぞれについて、「今、実際に誰が使っているか」を確認します。各サービスの管理画面にログインしてアクティブユーザー数を見るか、メンバーに直接確認するだけで構いません。
ここで注目したいのは、「契約ライセンス数」と「実際の利用者数」のズレです。10ライセンス契約しているのに実際に使っているのは3人、というケースは珍しくありません。このズレが、見えていなかったコストの正体です。
ステップ3:「解約できるか」で仕分ける
一覧ができたら、次の3つに分類します。
- 継続:今後も必要で、実際に使われている
- 要確認:使われているか不明、または代替手段がある
- 解約候補:実態として使われていない、または機能が重複している
判断に迷うものは「要確認」に入れておき、担当者に確認してから決めれば十分です。「解約候補」に分類できたものは、次の更新タイミングで解約する準備をします。自動更新の場合は解約申請に必要なリードタイム(1〜2ヶ月前の申請が必要なサービスもあります)を事前に確認しておきましょう。
ステップ4:「これ以上増やさない」ルールを1つ決める
棚卸しをしても、仕組みを作らなければ同じ状況が繰り返されます。最低限、「新しいSaaSを導入するときは、まず経営者・総務担当者に相談する」というルールを1つ決めておくだけで、シャドーITの発生をかなり抑えられます。
申請書や審査フローを整備する必要はありません。「一言声をかける習慣」のほうが、小規模なチームでは現実的に機能します。
棚卸しを終えたら考えたいこと——ツールを「減らす」という選択肢
棚卸しをすると、「同じような機能を持つツールを複数契約していた」「毎月の固定費がかなりの額になっていた」と気づく会社は多いのではないでしょうか。
SaaSを整理したあとで検討してほしいのが、ツールを「減らす」という視点です。チャット・ファイル共有・会計といったバックオフィスの機能を、複数のSaaSに分散させるのではなく、1台のサーバーにまとめるという選択肢があります。社員数が増えても費用が変わらない定額制の仕組みを選べば、棚卸しのたびに「何が増えているか」を追いかける手間自体を減らすことができます。